龍の心臓

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五つの歳を迎えるまでアベルには王になるための知識や教養を、アテナには剣術や馬術を教えて込んだ。   アテナの力は素晴らしく、すでに龍の力を得ているかのようだった。   国王は笑わずにはいられなかった。アテナの頭を雑にではあるが父親のように撫ぜてやり、剣術に励むよう励ました。   小さな女の子は綺麗な金色の、真ん丸の瞳を嬉しそうに縮めて撫ぜられた所を確認するように触っていた。   これがこの子が初めて父親と触合った瞬間だった。   しかし、国王の中にその子に対する愛情など無かった。   「明日、アレに術を施すぞ。素晴らしい力になりそうだ…。」   国を守ることよりも強大な力を得ることがはるかに上回っていた。   この国は狂い始めていた。
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