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あの予言の日から5年が経とうとしていた。
予言を解読した時には青年だったタージももう十二分に年老いていた。
「ジョンソン、ちょっとこっちへ来てくれ」
かすれかすれのその声は年以上にそれを感じさせる。
「手短にしてくれ」
ジョンソンはタージの1人息子だった。成績優秀で、今はタージの仕事を手伝っている。タージはジョンソンに信頼をおいているがジョンソンは短気な性格からよく問題を起こしてはタージを困らせていた。
「そこに座れ」
「なんだあらたまって」
普段とは違った父親の姿にジョンソンも真剣な顔つきに変わった。
「…」
「黙っていてもわからない」
「お前にはこれまで時間を守るために私の腕となり働いて貰ってきた。タイムマシンができてからまだ日は浅いが、ここまで時空を狂わすことなくこれたのはお前のおかげだ。
そこでお前には私のあとをついで貰いたいのだ」
「でも俺はまだ…」
「分かっている」
ジョンソンが若さを気にしていたのをタージは知っていた。
40歳を超えたばかりのジョンソンは、その高すぎる地位に困惑していた。
「周りは納得してくれるだろうか」
いつにもなく弱気なジョンソンにタージはゆっくりと首を縦に動かした。
「ならば見ててくれ」
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