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ジョンソンがやるべき仕事は時空を狂わせないことであった。
タイムマシンをまかされたタージは会社を作っていた。TKJと呼ばれる会社は
『タイム・キープ・ジャック』
時間を保つ男という意味らしいがジョンソンはそれについてタージに何も聞くことはなかった。
「今日からトップにたつことになったジョンソンだ。前社長と考えが異なることも多いが、ついてきてくれ」
誰からも文句が出なかったのはタージのおかげだけではなかった。
ジョンソンには十二分にその器が備わっていたのだ。
会議が終わったあと早々にいかにも爽やかな青年が目を輝かせてジョンソンに近づいてきた。
「社長!」
「なんだ?」
「社長にお聞きしたいことがありまして」
まばゆい笑顔で近寄ってきた青年にジョンソンは見覚えがなかったが、どうも親近感を覚えた。
「ジョンソンでいい」
「え?…はい!」
予想外の答えに戸惑う青年に間髪入れずにジョンソンが続ける。
「見ない顔だな?今日配属されたのか?名前は?」
「はいその通りです。ジョージといいます。」
ジョージの顔は本当に幸せそうだった。
その顔をみて不思議に思ったのか、いつもは他人に興味を示さないジョンソンがこのジョージという男に興味をもったようだった。
「それでなんだ?手短に話せ」
手短にしてもらう理由も必要もなかったが、ジョンソンのいつもの口癖がでてしまった。
「本当に過去に研究員を送るんですか?しかもあの予言をしらべるために。
過去に人を研究のために送るなんて前代未聞ですよね?」
「それを知ってどうする?」
ジョンソンは何故だか、その答えがわかっていた。ただ彼の口から聞いてみたいと思ってしまっていた。
「僕に行かせて下さい」
ジョージは今までで一番声を張り上げて言った。
「送るという根拠もないのにか?」
「そのためにここにきました」
ジョンソンは悩んでいた。世界のためだと言えども、時空を守る側の人間が時空を狂わすようなまねができるだろうか?
しかしたった今ジョンソンの気持ちが固まった。
「いいだろう」
「ありがとうございます」
ジョージは冷静にそして静かにその中に燃える炎を燃やしていた。
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