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少し間が空いてから、また彼は喋った。
「…思いを伝える事が大切なんだと、青菜さんが教えてくれたんだ。やっと…、言えたよ」
優しく微笑む彼に俺は自然と声が零れた。
「父さん…、」
初めて“父さん”と、ちゃんと呼んだ。
その言葉に父さんは少し驚いたみたいだったが、直ぐにまた優しく微笑んだ。
「朔夜……」
これが初めての親子との会話だと感じた。
それは、きっと父さんも感じているだろうと思う。
ただ黙って一緒にいるだけなのに、今までの溝が埋まっていく気がする。
変なの…
自然と心が穏やかになっていく…
そうして、俺と父さんは静かに笑い合った。
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