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「………もう、放して」
静かな公園に響いた俺の声。
彼女はゆっくりと離れると俺を見上げた。
曇りのない瞳に俺は目を細める。
「……可笑しいね…」
「……可笑しい?」
首を傾げる彼女を見たまま俺はまた話を続ける。
「家族なんて、ずっと知らないし、分からないモノだと、俺には関係ないと思ってた。
一人ならこんな事どおって事ないのに…。
放っておいて欲しかったのに…。
そう思う事が一番のはずだった。
なのに…、どうしてだろうね。
関係ないなんて嘘だった。
俺はもうずっと前から知ってた。
なのに、知らないフリをしてた。
家族のあたたかさを知るのが怖かった…。
ずっと逃げてた…。
信じる自信がなかった…。
俺には最初からアイツらがいたのに…」
フッと軽く笑いが零れる。
「アンタって、やっぱりあったかいね」
ぼんやりと薄く笑うと彼女は不思議そうに俺を見つめた。
「何言ってんですか?朔夜さん」
彼女はそう言うとを俺の手を取りぎゅっと握った。
「あったかさなら、朔夜さんもありますよ」
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