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にこっと笑う彼女。
こんなに簡単に言ってしまうなんて…
ホント、凄いね。
彼女に会う前の俺が、
もし、さっきの彼女の言葉を誰かに言われても、きっとこんな気持ちにはならなかっただろう…
そう思う。
何だかかんだ言って、
みんなが…真田一家が変わった様に、俺もまた知らない間に変わっていた…のかな?
冷たかった俺の手が、彼女が握った部分から少し熱を持つのを感じる。
彼女みたいに俺もあったかくなれるかな…
そう思っているとふいに名前を呼ばれる。
「朔夜さん、」
見れば何だか目が虚ろに見えるけど…
「お、お腹が…」
「……?」
「お腹がすきました~…!」
目を回して彼女は地面にドサリと音を立てて倒れた。
あ、そう言えば夕食を食べてない…
「…俺が家を出てから、ご飯も食べず走り回って、ずっと俺を探してたの?」
「ん~……」
完全に意識がない彼女。
返事はないけど、きっとこの様子からそうなんだと分かる。
「ホント、バカだね…」
倒れた彼女をひょいと横抱きにする。
むにゃむにゃと動かす口を見て少し笑ってしまった。
「もし、アンタが悠紀のモノじゃなかったら、俺の婚約者にしてたよ」
小さいなあたたかさ
きっとこれは…
「俺はどうかしてるね…」
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