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それでも、新八はそんな事はどうでもよかった。
己でも分かっているからだ。
勇気がないということに。
ただ剣道が出来ればいいのだ。
それだけでよかったのだ。
携帯が手の中でブルブルと震えだした。
ニ回目のアラームが新八に時間を伝えた。
「あ…」
二回目のアラームが鳴るということは、家を出るまであと40分しかないということだ。
だがまだ間に合う。
新八は一つ伸びをして、学校へ行く準備をし始めた。
予定通りに家を出れた。
竹刀を片手に持ち、スポーツバッグを斜めに下げていつもの道を歩き出した。
空は快晴。
季節は秋になったばかりで、新八や街を、夏の名残が包んでいた。
(はぁ~風が気持ちいいなぁ…なんで今日も学校あんだろ…部活は好きだからいいけど…今日はそういえば…)
新八はこんなことを考えながら歩いているが、本当は学校が好きだったりする。
そんな考え事をしている新八には後ろからやって来る足音に気付かなかった。
「よう!新八!!」
己の名を呼ばれ、意識が戻る。
後ろの足音は跳躍するために力強く踏み入れられた。
来る。
新八は飛びつかれる瞬間身を低くした。
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