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目の前に着陸した足音の持ち主は不恰好に降り立った。
「本当にお前は反射神経いいなぁ。でも俺の着陸は100点だろ?」
「んなわけないでしょ平八」
キリリとした目を細くし、不適に笑った。
「おはよう、我らのエース永巳新八くん」
「おはよ。その呼び方よしてくれない?お前も十分強いじゃないか」
新八よりも身長が高く、男前という言葉が似合うこの人物。
藤谷 平八郎だ。
平八郎と新八は中学校からの友達だ。
同じ剣道部に入っている。
証拠に、平八郎の手にも竹刀が握られている。
二人は学校への道のりを歩き出した。
「いつも大会ではお前の方が上だ。この前の試合もすごかったけどな」
「でも負けは負けさ」
「まぁな。お前があそこでビビんなかったら初優勝だったのにな」
「どうせ俺はビビりだよ」
平八郎も、新八の臆病さを知っていた。
優勝を狙えるはずの新八を、いつも歯がゆく思っていた。
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