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「初夏大会の吉田って…俺と決勝で戦った人だ」
「そう、新八が今までになくビビってしまった試合の相手さ」
「んだと!!」
新八が最近試合をしたのがこの“初夏大会”である。
夏の始まりに行われる大会で、全国から新八達が住んでいる東京へ、強者が集まってくる。
新八もその大会に出場し、当たり前のように決勝へと勝ち進んだ。
そしてその決勝で当たったのが、行方不明となった吉田 秋都なのである。
試合をする前に、平八郎と総太に連れられて秋都に会いに行った。
剣道部とは思えないほど華奢で、黒髪がとても似合う少年だった。
『君が次の相手の永巳君?僕は吉田。いい試合をしよう』
穏やかに微笑み、新八に握手を求めた。
新八はおずおずと手を差し出した。
握られた手は、その体からでは考えられないほどの力が新八に流されたのを覚えている。
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