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『奥の部屋は、空き部屋ですけど、入らないでくださいね。』
奥を指差してメモを見せるネスラにセーナは頷いた。その部屋で案内は終わりだったので、丁度昼時ということもあり昼食を作ることになった。
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昼食の時は、ネスラはメモを置いたままだった。食べる前の話だと、行儀が悪いからだそうだ。だから、セーナが今までの旅の話をした。ネスラは楽しそうに聞いていた。
昼食を食べ終わり、2人で食後のお茶を飲んでいる時、セーナはふとあることを思い出し、ネスラに聞いてみた。
「そういえば、ノールさんが狼に襲われてた時、俺、声を聞いたんですよ。ノールさんは聞きませんでした?」
セーナが聞いた時、ネスラが一瞬強張った。セーナはそれを見逃さなかったが、気付かない振りをする。ネスラは、お茶を見ながら頷いた。
「やっぱり、俺の空耳かな。体調悪かったし。」
そう言って軽く笑うセーナに、ネスラもぎこちなく笑った。
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夕方になると、ネスラが慌てだした。急いでメモに書いていく。
『ごめんなさい。私これから部屋に行きます。夕飯とか、好きに食べてください。』
セーナにメモを押しつけ、ネスラは行ってしまった。
「不思議だ。」
首を傾げセーナは呟いた。
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