セーナの異変とネスラの不思議

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セーナは食事をする手を止めふっ、と思った。耳を澄ますと、風の音、木が揺れる音、風が止めば蝋燭と暖炉の燃える音、自分の呼吸する音しか聞こえなかった。彼女は、いつからこの静かな空間に居るんだろうか、とセーナは思った。セーナとて、こういう空間は野宿の時などに体験している。しかし、彼女に比べればたいした時間ではないし、たまには1人になりたい時もあるから丁度良い。 (一緒に旅をしたら喜ぶかな?) そう思ってセーナは苦笑した。 (まるで、惚れてるみたいに思えるな。・・・俺はそんなことにはならないけど。) 〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰 冷めてしまった夕食を片付け、セーナは温め直した夕食を持ってネスラの部屋に行った。扉をノックして中に居るネスラに告げる。 「ノールさーん、夕食置いときますから、食べてください。俺は先に風呂貰います。」 セーナが行ってしまうと、部屋の扉が少し開き、ネスラが出てきた。そして夕食を見て微笑む。 (優しい人だなぁ。) そのネスラの髪と目の色は、深緑と茶色ではなく、クニマ大陸出身の特徴、髪も目も真っ白だった。
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