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セーナは無言で狼を睨み付けた。狼は気まずそうに身体を震わせた。
「本当にすまない。そして、こんなことを言える立場ではないが、私を助けてくれ。」
セーナはついに叫んだ。
「ふざけるな!」
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はっ、とセーナは起き上がった。周りを見回し、此処が自分の部屋だと確認し、安堵の溜息を吐く。そのまま窓を見ると、まだ暗かった。立ち上がりなんとなく窓を開けると、風と雪が吹き込んでくる。
(雪がまた降ってきたな。)
少し部屋の空気を入れ替えるため、そのまま外を見ていた。すると、またあの声が聞こえてきたのだ。セーナは咄嗟に窓をギリギリまで閉め耳を澄ます。
〈ヌー、ヌー、何処に居るの?何かあったの?返事してよ、ヌー!〉
今にも泣きだしそうな、否、もう泣いているのかもしれない。セーナは思いっきり窓を開け、辺りを鋭く見回した。
何かが動いた。素早く窓から飛び出し、何かがいた場所に走る。何かはやはり人で、逃げようとする。しかし、本気で走るセーナに直ぐに腕を捕られてしまった。
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