セーナの異変とネスラの不思議

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髪の色も目の色も違かったが、それはネスラだった。あの深緑の髪と濃い茶色の目ではなく、純白の髪と目。その目からは涙が溢れ出ていた。茫然とセーナは呟いた。 「ノール、さん?」 名前を呼ばれたネスラは、びくりと震え、声は出ていないが何かを叫ぶようにしながら必死に腕を振り解こうとした。しかし、ネスラの抵抗にセーナは全く動じない。ネスラの涙の方に動揺していた。あの、不安や怯えが交じりあった、真っ白な目から流れる涙に、セーナはどうしていいかわからなくなった。身体が勝手に動く。 気付けば、セーナはネスラを思いきり抱き締めていた。そして、ネスラの耳元で囁く。 「大丈夫だ。」
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