セーナの異変とネスラの不思議

12/18
前へ
/40ページ
次へ
セーナにも何が大丈夫なのかはわからないが、とりあえず安心させて落ち着けなければと思う。大丈夫、大丈夫、安心して、とゆっくり繰り返しながらネスラの背中をあやす様に叩く。 ネスラは最初、離れようと藻掻いていたが、セーナの言葉に落ち着いたのか、段々とおとなしくなった。そして、逆にセーナにしがみつき、泣き始めた。セーナはそのまま抱き締めていた。 不意に、ネスラが力を抜き倒れようとした。セーナが抱き締めていたので倒れなかったが、どうしたのかとネスラの顔を覗き込む。ネスラは苦しそうに浅い呼吸を繰り返していた。一瞬、自分の力が強すぎたかと思ったセーナだったが、ネスラの額に手を乗せる。ネスラの額は熱かった。 セーナは直ぐに抱え上げ、急いで家に入り、ネスラの部屋に向かう。ベッドに寝かせ毛布を被せる。部屋は冷えきっていた。セーナは舌打ちをしたくなった。一体何時から外にいたのか、それにどうして自分は気付かないのか、と後悔しながら暖炉に火をいれる。そして水を絞った布を額に乗せた。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加