セーナの異変とネスラの不思議

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ネスラの看病をしているうちに夜明けが近づいてきた。不思議なことに、近づくごとに、ネスラの髪が根元から薄い緑から深緑に変わっていった。きっと目も濃い茶色になっているだろう。セーナは、髪が変わっていくのを静かに見ていた。心なしか、ネスラの様子も良くなってきたと思う。 セーナは、ネスラの額の布を換えるために手を伸ばした。しかし、その手は布ではなく、髪に触れ、毛先まで撫でていた。何回か繰り返し、また撫でようとした時、ネスラが動いた。はっとして手を引っ込める。 (俺は今何を?) 自分の手をじっと見つめていると、ネスラが寝返りをうった。そしてゆっくりと目を開く。セーナは、視線をネスラに移し、にこりと笑い立ち上がった。そしてそのまま部屋を出ていった。ネスラはじっと扉を見ていた。直ぐに水を持って戻ってきたセーナを見て、ネスラは泣きそうになった。もう戻ってこないように思えたのだ。そんなネスラを見てセーナはまた慌てた。水を置き、どうしたのかと尋ねる。ネスラは首を振った。
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