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ネスラが落ち着いたのを確認し、セーナはネスラにまだ寝るように伝えると、セーナは自分の部屋に戻ろうとした。歩こうとして、引っ張られた。後ろを振り向くと、ネスラが服の裾を掴んで何か言いたげにセーナを見上げていた。
「どうしたんですか?」
セーナが尋ねると、ネスラは腕を伸ばし机からメモ帳とペンを取出し、書いて見せる。
『小枝を採ってきてください』
セーナはきょとんとしていたが、笑顔で頷くと、部屋を出ていった。ネスラは、セーナが出ていったあと、何かを覚悟するように両手を握り締めた。
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「採ってきましたよ。どうぞ。」
ネスラはセーナから小枝を受け取ると、起き上がった。緊張した様子で枝を握っていたが、決意したようにセーナを見た。セーナは椅子に座る。ネスラが口を開いた。
〈聞こえますか?ソルガさん。〉
セーナは、目を見開いたが、直ぐに返事をした。
〈良かった。ソルガさんに、色々と言わなければならないから。もう、気付いてると思うけど、最初に会った日、ソルガさんが聞いた声は、私です。寝ている時に聞いた声も私です。私、植物を通してなら、喋ることができるんです。〉
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