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セーナはその夜、また同じ夢を見た。あの狼の居た場所に向かっているのか、セーナが気付いた時には勝手に自分の足で歩いていた。
セーナは、自分があの場所に向かっていると気付いた時、走りだした。寝る少し前、またあの傷が痛みだし、今度は額の方に鈍痛を感じた。風呂に入るときに、朝感じた腹部の方をを確認すると、くっきりと青あざが出来ていた。
少し走ると直ぐに洞窟が見えてきた。そして、蹲る狼が。
「お前、俺に何をした。」
狼の前に立ち、怒りを押し殺した声で聞く。狼は俯いたまま喋った。
「・・・すまない。こうするしかないと思ったというか・・・。」
一瞬、殺してしまおうかと考えてしまったが、なんとか押さえ込む。そしてその場にどっかと座り込んだ。
「いったい、俺どうなってんだよ。」
「今、お前と私は繋がっている。」
「お前じゃない。セーナだ。で、どういう意味だよ。」
「私の身に起きた痛みや衝撃が、そのままセーナの身に起きる。」
「はあ?!」
「いや、すまないとは思っている。」
「じゃああんたが死んだら俺も死ぬのか!?」
「うむ。だからその前に、助けてほしい。」
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