捜索

2/12
前へ
/40ページ
次へ
セーナはその夜、また同じ夢を見た。あの狼の居た場所に向かっているのか、セーナが気付いた時には勝手に自分の足で歩いていた。 セーナは、自分があの場所に向かっていると気付いた時、走りだした。寝る少し前、またあの傷が痛みだし、今度は額の方に鈍痛を感じた。風呂に入るときに、朝感じた腹部の方をを確認すると、くっきりと青あざが出来ていた。 少し走ると直ぐに洞窟が見えてきた。そして、蹲る狼が。 「お前、俺に何をした。」 狼の前に立ち、怒りを押し殺した声で聞く。狼は俯いたまま喋った。 「・・・すまない。こうするしかないと思ったというか・・・。」 一瞬、殺してしまおうかと考えてしまったが、なんとか押さえ込む。そしてその場にどっかと座り込んだ。 「いったい、俺どうなってんだよ。」 「今、お前と私は繋がっている。」 「お前じゃない。セーナだ。で、どういう意味だよ。」 「私の身に起きた痛みや衝撃が、そのままセーナの身に起きる。」 「はあ?!」 「いや、すまないとは思っている。」 「じゃああんたが死んだら俺も死ぬのか!?」 「うむ。だからその前に、助けてほしい。」
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加