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そう言って頭を下げた狼を静かに見つめ、セーナは溜息を吐いた。
「わかった。助けてやるよ。」
「良いのか!?」
勢いよく頭を上げた狼に苦笑する。
「お前を助けないと俺も大変だしな。ちょうど捜さなきゃいけない人もいるし。」
「ありがとう。」
「で?どういう状況なんだ?」
「それは・・・いかん。時間だ。」
話を聞こうとした時、狼が慌てだした。そして徐々に薄くなっていく。
「おい!どうした!?」
「明日だ!」
そう言って、狼は完全に消えた。残されたセーナの周りも徐々に暗くなり始め、完全な闇になった時、目を覚ました。
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セーナが朝食を作ろうとキッチンに向かった時、ちょうどネスラと会った。
「おはようネスラ。体は平気なのか?」
ネスラは嬉しそうに頷く。そして何かに気付くと、両手で押し止める仕草をした。
「此処にいろってこと?」
セーナが聞くとネスラは頷き走って部屋に入ると、すぐに戻ってきた。セーナを見上げ、満面の笑顔で1言。
〈おはよう、セーナ。〉
そしてそのままキッチンに行ってしまった。セーナは珍しく顔を赤くし、その場で固まっていた。
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