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〈あの、人じゃないの。あの日、私達を襲った狼なの。〉
セーナは夢で会っている狼を思い出した。そしたらネスラはそのヌーという名前の狼が精霊のような存在だと知っているのだろうか。黙りこんだセーナをどう思ったのかネスラが慌てだした。
〈あの、ヌーは、私が小さい頃から一緒で、ずっと過ごしてきたんだけど、最近姿が見えなくて、あの日急に飛び掛かってきて、〉
「慌てなくて大丈夫だから。」
セーナはネスラを落ち着かせる。
「ヌーはもともと賢い狼で、最近までネスラと過ごしていたのに、突然襲いかかってきて、それから戻ってこないと。」
セーナが確認すると、ネスラは頷く。
〈ヌーに、絶対何かあったの。早く見つけて助けないと。〉
「わかった。ヌーを見つけよう。」
セーナはネスラにはヌーと自分の秘密を黙っておくことにした。ヌーはたぶんネスラに精霊だと教えていない。それを自分が教えるのはどうかと思うし、またヌーが確かに危険な状態だと知らせて余計に不安にさせないためだ。
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ネスラにヌーが何処に住んでいるか聞くと、ヌーはいつのまにか傍に居て、居なくなる時は服を引っ張り、お辞儀をして居なくなるため、わからないそうだ。確かに、知っていたら真っ先に向かって、家の周りを捜すわけないだろう。
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