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「女性はあまり力仕事はやらないだろ?」
[そんなことないよ。ここの国の人たちは、女の人も結構薪割りとかするよ。]「へー。」
その後も、ぽつりぽつりとセーナとネスラは話ながらヌーを捜し山を登っていった。
どれくらい捜したろうか。
ネスラが空を見上げながらセーナに声をかけた。
[セーナ、そろそろ戻らないと、危ないかも。]
セーナも空を見上げる。まだ青空が広がっていたが、戻る時間を考えての発言なのだろう。ネスラを見ると泣きそうなのを耐えているような顔だった。山を知っているのは彼女だけだ。セーナは返事をするとネスラに近づこうとした。しかし、その時また腹部に鈍痛が走った。そして痛みは激しくなっていく。セーナは呻きながらその場に膝をついた。
[セーナ!?どうしたの!?]
「ちょっと、ね。・・・ぐ!」
(くそ、見られたくなかった。)
泣きそうになっているネスラになんとか笑顔を見せようとするセーナだったが、歯を食い縛るのに精一杯だった。何分経ったのか。急に腹部の痛みが和らいだ。セーナが詰めていた息を吐き出し、ネスラにもう大丈夫だと言おうとした時だった。頭に激痛が走り、セーナはそのまま意識を失った。
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