捜索

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セーナが目を覚ますと、ネスラが泣きながら自分を覗きこんでいた。セーナは一瞬状況を理解出来なかったが、すぐに気付き起き上がる。そしてネスラに声をかけようとした時、彼女がしがみついてきた。そのまま震えて泣く彼女に、セーナは愛しくなり強く抱き締め返した。 「ごめん。もう大丈夫だから。」 ネスラの髪を梳きながら、セーナは彼女の耳元で、彼女が落ち着くまで囁き続けた。暫くするとネスラは落ち着いたらしく、離れようとした。そんな彼女の深緑の髪にセーナは顔を埋め目を閉じ、本当に一瞬だけ強く抱き締めると、ゆっくり解放する。そしてネスラの頬に手を添え、瞳を見つめながら言った。 「これから、ヌーを助けに行ってくる。危険だから、ネスラは先に家に帰っててくれ。」 それを聞いたネスラは、嫌だと言うように首を横に振る。よく見ると、彼女は枝を挿していなかった。何度か優しく言い聞かせるセーナだったが、ネスラは頑なに首を振り続けた。遂にセーナは強くネスラを呼んだ。 「ネスラ!」 それでも、ネスラはセーナの手を力の限り掴み、涙を溢しながら睨み付けるように見つめる。暫く無言の状態が続いたが、セーナががっくりとうなだれ、ネスラを強く抱き締めた。
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