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(何だ・・・?)
セーナは左腕を押さえながら狼の走り去った方向を見ていたが、足音が聞こえそちらに目を向けた。
襲われていた人物がこちらに向かい走ってきていた。セーナの目を引いたのは、髪の色だった。周りの木と同じ深い緑だった。
セーナが認識できたのはそこまでで、目の前が真っ暗になったと思うと、そのまま意識を失ったのだった。
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セーナは、夢を見ていた。旅から、王女と友人の待つ家に戻り、たくさんの見てきたこと、体験したことを話し、また旅立つという夢だった。とても、暖かかった。
ふと、何かおかしいとセーナは思った。
(そうか、夢か。)
確か、自分は、雪深い山にいたはずだ。すぐに現実を認識したが、やはり何故か暖かく、まだ夢見心地で、考えがまとまらなかった。
寝返りを打とうとして、腕に痛みが走り、すぐに意識がはっきりした。慌てて起き上がり周りを見渡す。寝室の様で、傍には小さな机しかなく、暖炉では薪が燃えていた。次に自分の状況を確認する。上半身は裸で、腕には包帯が巻かれている。よく見ると両手両足にも包帯が巻き付けてあった。
(気分最悪。)
状況を確認すると、目眩と吐き気が襲ってきた。
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