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靖子がその男のことを好きなのは、ずっとわかっていた。 「カズマがね、カズマがね」 と嬉しそうにその男のことを語る靖子の口角の上がった唇が憎らしかった。 私は靖子の気持ちに気づかないふりをしていた。 小柄で巻き髪で女らしい体つきの靖子と、ノッポでショートカットで痩せぎすの色気のない私とでは、レースにならないことなどわかりきっていた。
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