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カズマが帰ってしまい、時間を持て余した私と靖子は学生ホールでお茶を飲むことにした。
紙コップ式の自動販売機でアイスコーヒーを買い、窓際の席に腰をかけた。
窓ガラスにぶつかっては流れる雨粒を見ながらたわいない話をし、一息ついたところで靖子はおもむろに鞄の中から雑誌を取り出した。
見ると、それはアルバイトの求人情報誌だった。
靖子は雑誌を開いて溜め息をついた。
「バイトでもするの?」
私は訊いた。
靖子は頷いた。
お嬢さん育ちの靖子がバイトなどする理由が見当たらず、私は不思議に思った。
「どうしてバイトなんかするの?」
「だって、もうすぐカズマの誕生日じゃない」
靖子は恥ずかしそうに笑った。
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