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雨が降っている。
雨は俺の体温を奪い…
真っ赤を洗い流していく…
寒い。
夏なのにまるで冬のような寒さだ。
意識が遠退く。
熱が出たら風邪を引いたとわかるのと同じで…
俺はわかる。
もうじき、死ぬのだと…
死ぬ前に、もう一度。
あの子に会いたかったな…
徐々に瞼が閉じられていくのを感じながら、俺は強く想った。
会いたい。
会いたい。
…………生きたい!!
「まだ…生きたいですか?」
声がしたほうを見てみると、俺をジッとしゃがんで見ている女の子。
背中には…白い両翼。
はは…ついに幻想が見え始めたか…
目から自然と涙が零れ、気がついたら言っていた言葉。
「あんたが天使なら…どうか願いを…」
午後17時25分。
俺は死んだ。
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