15人が本棚に入れています
本棚に追加
/49ページ
シャオは囲炉裏の傍らで火鉢を持ち、熱せられた炭をつついている。表情は変わらず笑顔で心が和む気がした。
炭から発せられた煙は上へ上へと昇り、天井の中央にある穴から外へと出ていく。
俺はそれを横目に、今日の夕食の材料となるであろう食材を、爽快に切っている。
少ない緑の野菜と大量の芋。
木の板の上にあるのはそれだけだ。
しかし、文句など言ってはいられない。
なにせ今日は、食べ物を胃におさめることができるのだから。
それだけで充分である。
俺は切り終えたそれらを一つに纏めて鍋に入れた。
あとは水があれば煮れるのだが……。
そんなことを考えていると、後ろの方からしゃがれた声がかけられた。
「リオバよ。水を持ってきたんじゃが、運ぶのを手伝ってくれんかの」
チグ婆だ。
俺は入り口にかかっている布を上げ、チグ婆を中に招き入れた。
もちろん水が入っている瓶は俺が持った。
水を鍋に入れ、具を煮始めた。
最初のコメントを投稿しよう!