◇第一章 始まり◇

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リゼルという名前の少女は、ゼノスに呼ばれて顔を上げる。 つまらなそうに頬を膨らませていたが、ゼノス達を見るとその顔は怒りへと豹変していった。 ──トン 軽い足取りで岩から降り、ツカツカと早足でリゼルは近づいてきた。 ──ゴクン 隣では息を呑む音がした。顔を青くして、先ほどより汗をかいているゼノス。いや、冷や汗の方が正しいかもしれない。 ミラノは近づいてくるリゼルを見た。 (……あの子の背後から黒い何かが) リゼルはゼノスの真正面に立ち止まり、ニコッと笑った。ゼノスもつられてニコッと笑う。 「何してたのよ」 可愛らしい声でドスをきかせた声を発するリゼル。ニッコリと笑ったままだ。 「ま──」 ──パンッ!! ゼノスが何かをいう前に、先にリゼルのビンタが飛ぶ。 ……今に至る。
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