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リゼルという名前の少女は、ゼノスに呼ばれて顔を上げる。
つまらなそうに頬を膨らませていたが、ゼノス達を見るとその顔は怒りへと豹変していった。
──トン
軽い足取りで岩から降り、ツカツカと早足でリゼルは近づいてきた。
──ゴクン
隣では息を呑む音がした。顔を青くして、先ほどより汗をかいているゼノス。いや、冷や汗の方が正しいかもしれない。
ミラノは近づいてくるリゼルを見た。
(……あの子の背後から黒い何かが)
リゼルはゼノスの真正面に立ち止まり、ニコッと笑った。ゼノスもつられてニコッと笑う。
「何してたのよ」
可愛らしい声でドスをきかせた声を発するリゼル。ニッコリと笑ったままだ。
「ま──」
──パンッ!!
ゼノスが何かをいう前に、先にリゼルのビンタが飛ぶ。
……今に至る。
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