◇第一章 始まり◇

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「……ねぇ、ちょっと行ってくるって言ったわよね? あれからどれくらい経ったと思っているの?」 地に伏せているゼノスにリゼルは散々文句を言うが、それからの返事はない。 ミラノは苦笑いをしながらその状況を見ていた。やがて、言いたいこと言い終えたらしいリゼルは、そこで初めてミラノに気付く。 「……あら、あなた誰なの?」 「僕は──」 「ふぅん、魔獣に襲われたの」 あれから、ミラノは先ほどの出来事をありのままに話した。 「……おかしいわね。ここら辺の魔獣なら、ゼノス一人でも余裕で追い払うことができるのに」 「そ…れ……は」 すると、下の方から声が聞こえてきたのでそちらを向くと、ゼノスは仰向けのまま言う。 「リゼルが…俺の武器を……預かっているから…だろ……?」 「……?」 リゼルは腕を組んで考える。 …………まだ考える。 ……まだまだ考える。 思い出した。 「し、知らないわよ。ゼノスが悪いんじゃない」 そして、顔を少し赤くしながらもゼノスのせいにした。 「──ほらっ」 リゼルはショートパンツのポケットから指輪を取り出し、ゼノスへ放り投げる。 「いててて」 よろめきながらもゼノスはゆっくり立ち上がり、指輪をキャッチする。
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