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「……ねぇ、ちょっと行ってくるって言ったわよね? あれからどれくらい経ったと思っているの?」
地に伏せているゼノスにリゼルは散々文句を言うが、それからの返事はない。
ミラノは苦笑いをしながらその状況を見ていた。やがて、言いたいこと言い終えたらしいリゼルは、そこで初めてミラノに気付く。
「……あら、あなた誰なの?」
「僕は──」
「ふぅん、魔獣に襲われたの」
あれから、ミラノは先ほどの出来事をありのままに話した。
「……おかしいわね。ここら辺の魔獣なら、ゼノス一人でも余裕で追い払うことができるのに」
「そ…れ……は」
すると、下の方から声が聞こえてきたのでそちらを向くと、ゼノスは仰向けのまま言う。
「リゼルが…俺の武器を……預かっているから…だろ……?」
「……?」
リゼルは腕を組んで考える。
…………まだ考える。
……まだまだ考える。
思い出した。
「し、知らないわよ。ゼノスが悪いんじゃない」
そして、顔を少し赤くしながらもゼノスのせいにした。
「──ほらっ」
リゼルはショートパンツのポケットから指輪を取り出し、ゼノスへ放り投げる。
「いててて」
よろめきながらもゼノスはゆっくり立ち上がり、指輪をキャッチする。
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