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「──あなた、ミラノといったわね?」
リゼルは頷くミラノに近づき、胸元に付けていたキラッと輝くものを覗き込む。
「このペンダントに付いてある石って……月晶石よね」
「月晶石?」
「えぇ、とても珍しいものよ。私も実物を見たのは初めてだわ。知らなかったの?」
ミラノは困ったように頭を掻いた。
「うん。……これは物心が付いたころから持っていたんだ」
ペンダントをリゼルによく見えるように手に取る。ペンダントは十字架のような形をしていて、金色の台座に淡い白透色の石がはめられていた。
(この石って月晶石っていうんだ。……ゼノスに付いてきた甲斐があったな)
食い入るようにじっと月晶石を見ていたミラノは、ふとゼノスがいないことに気付く。
「そういえばゼノスは?」
「あいつなら……あそこよ」
リゼルは指で岩の方向を指す。ゼノスは岩の近くにあるリュックを背負っているところだった。
「何でミラノはディーゼルに行くの?」
「僕? 僕は今年から魔法学園に通うんだよ」
そう言うと 、リゼルはクスッと笑う。
「うふふ、巡り合わせみたいなものね」
「……どういうこと?」
「私たちもルベリア魔法学園に向かっているのよ」
これには驚いたミラノに、ふらふらとした足取りでリュックを背負ったゼノスが、
「よし、じゃあディーゼルへと向かうことにするか!!」
と言った。
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