◇第一章 始まり◇

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「──あなた、ミラノといったわね?」 リゼルは頷くミラノに近づき、胸元に付けていたキラッと輝くものを覗き込む。 「このペンダントに付いてある石って……月晶石よね」 「月晶石?」 「えぇ、とても珍しいものよ。私も実物を見たのは初めてだわ。知らなかったの?」 ミラノは困ったように頭を掻いた。 「うん。……これは物心が付いたころから持っていたんだ」 ペンダントをリゼルによく見えるように手に取る。ペンダントは十字架のような形をしていて、金色の台座に淡い白透色の石がはめられていた。 (この石って月晶石っていうんだ。……ゼノスに付いてきた甲斐があったな) 食い入るようにじっと月晶石を見ていたミラノは、ふとゼノスがいないことに気付く。 「そういえばゼノスは?」 「あいつなら……あそこよ」 リゼルは指で岩の方向を指す。ゼノスは岩の近くにあるリュックを背負っているところだった。 「何でミラノはディーゼルに行くの?」 「僕? 僕は今年から魔法学園に通うんだよ」 そう言うと 、リゼルはクスッと笑う。 「うふふ、巡り合わせみたいなものね」 「……どういうこと?」 「私たちもルベリア魔法学園に向かっているのよ」 これには驚いたミラノに、ふらふらとした足取りでリュックを背負ったゼノスが、 「よし、じゃあディーゼルへと向かうことにするか!!」 と言った。
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