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† † †
あの後、無事森の中を出た三人は、広い草原を越えてディーゼル王国に着く。
初めてディーゼル王国に来たミラノは、見たこともない色んな店に興味を持つが、まず一番先にルベリア魔法学園へと足を運ぶことにした。
「……着いたわ」
すでに地平線の向こうに夕日が沈みかけ、日が暮れかかっていたが、それでもまだ明るい。
三人の前には大きな門があり、その両方の脇には、剣を両手で掲げていて、その高さは三メートルはあろう石像が置いてあった。
その門の奥には、古く歴史ある石造りの巨大な城がそびえ立つ。
城の周囲に張り巡らされていた庭園は、老庭師の熟練の手によって石像以上の高さを誇っていた。
「ここが……ルベリア魔法学園。なんかとても大きいね」
「ここはディーゼル王国の中でも、一番大きいと言われているからな」
(……そういえば)
ミラノは腰に丸めて下げていた、何も書かれていない一枚の紙を取り出した。
「この紙を門番に見せろって言われたんだけど、どこにいるの? その門番は……」
ミラノは門の周りを見るが、誰もいない。
ゼノスとリゼルはそんなミラノを見て、顔を合わせて笑う。
「……何?」
「うふふ。本当に何も知らないのね」
「ミラノ……その紙を持って石像の前で開いてみ?」
「……?」
ミラノは疑問を覚えながらも、ゼノスの言うとおりに石像の前で紙を開いた。
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