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子猫がいなくなると、ミラノたちはルベリア魔法学園の建物の中に入るため、浅くて幅の広い階段を上がり、重々しい木のドアの前に立つ。ドアはすでに開かれていて、中からは大広間が見受けられた。
「……そういえば」
そのまま大広間に入ると、そこからは三本の回廊に分かれていた。ゼノスはふと思い出したように、立ち止まって隣にいたミラノに聞く。
「ミラノは寮の部屋は決まっているのか?」
顔を横に振ると、ミラノとは逆側にいたリゼルが話しかけた。
「……なら、学園長のところに行くことね」
「ゼノスとリゼルは?」
「俺たちは部屋に戻ることにするよ。荷物を整理しなきゃいけないからな」
そう言って、村から持ってきた荷物が入っているリュックを見せる。
「……じゃあ、これで一度解散だね。案内ありがとう」
森の中、目的地が一緒だということで、ゼノスとリゼルは案内役を買ってくれたのだ。
「礼をいわれる筋合いはねぇよ。俺はミラノに色々と助けられたからな。これでお互い様だろ」
ゼノスが笑いながらそう言ってくれたお蔭で、少しほっとしたミラノ。二人がいたお蔭で、苦もなく予定よりも全然早くディーゼル王国に着くことが出来たから。もし、一人で行っていたら、もっと遅くにここに着いていただろう。
ふぁ~と小さな口を手で隠しながらあくびをかいたリゼルは、眠たそうな目で言う。
「少し歩いて疲れたから、先に私は部屋に戻って寝ることにするわ」
リゼルは、「それじゃあね」と言って、左の回廊を歩き始める。
「……一応言っておくが、学園長の部屋はここからまっすぐ行って、突き当たりのところに階段があるから、そこから最上階まで上れよ」
「うん、わかった」
「それじゃあな」
ゼノスは右手でミラノの肩をポンと軽く叩き、リゼルと同じ方向を、今はもう元気な足取りで歩き始めた。
(……さてと)
ゼノスが回廊の角を曲がって見えなくなると、ミラノはまっすぐ前を向いて、学園長の部屋に向かうことにした。
(学園長か……どんな人なんだろう)
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