序章

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──暗闇の樹海で。 寒空のもと、何者かに追いかけられながら、一頭の白馬が木々の中を猛烈な速さで駆けていた。 その白馬を操っている漆黒の髪の男は、切っ先から向かってしなやかな曲線を描く、白い刃の大剣を肩のベルトに背負っている。 突如、後方から紅い閃光が放たれ木々が赤い光に染まった。光におそわれた馬が地面に胸をたたきつけるように倒れ込んだ。 男は倒れる前に馬から飛び降り、着地するや倒れた白馬の方を一度振り返ると、きびすを返して森の中へと走り始めた。 「──チッ」 声の主の男は右手を上げる。 ──地獄の海流── 《InfernoBlast!!》 その手に劫火の焔を纏い、解き放たれた焔は膨張し男の周りにいた敵は一瞬で焔に飲み込まれ、辺りは焼き野原に化した。 先程の攻撃で敵の数が減ったが、まだたくさんいて、男を追いかけていた。 襲いかかる敵に、肩にぶら下げていた大剣を握ると相手を一刀両断し、少し離れたところにいた敵に、無造作に手首をひねりその大剣を横薙ぎに振ると、突然、三十メートルくらい離れた敵が、何かが爆発したかのように轟音と共に破砕する。 そして、別の離れていた敵の所まで、一気に跳躍し大剣に焔を宿らせてそのまま勢いをのせて切り裂く。 後ろから男に向けて、雷の矢が飛んでくるが大剣で防ぎ、代わりに剣先から相手を灼熱の焔で焼き尽くした。 焔の中、相手はまだ動き続け、男に向けまた雷の矢を飛ばすが、男はそれを大剣で受け流し、攻撃してきたそれに大剣で切り裂いた。 だが、相手はその攻撃を喰らうとともに男の服を掴み、逃げられないようにしてしまう。 ──大爆発── 《Exprosion》 「なっ!? し、しまっ──」 大きな爆音と共に、辺りにある全ての物を光の中へと巻き込んだ。
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