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「──っ!!かはっ」
男は地面に膝をついた。
血が目に入って霞み、意識が朦朧とするなか二人の人物が近付いてくる。
「うふふ、流石の剣聖もこの人数でかかればやられるのね……いえ、一人だったらやられなかったかもしれないわ」
「いや、正直ここまでやるとは思わなかったよ。まさか、そんな小娘を守りながら、Bランクの魔術師でも一体倒せるかわからないのに、貴方は二百体以上も倒してしまったのだから。
だが、長時間の戦闘と疲労で行動判断が鈍くなったようだな」
男は瞬時に、爆発する前に左手に抱えていた少女を、強度な魔力障壁をはって守りぬくことに成功したが、自分はバリアをはり遅れてもろに喰らってしまう。
周りには、破壊された部品がたくさん散らばっていた。
「……き…さま……ら」
「ほぅ、まだ話せるのか」
男は二人を睨みつけ、次にあちこちが傷だらけの少女をいとしく見る。少女は小さな寝息をしてぐっすりと寝ていた。
(クド様……せめて貴女だけでも)
男の意識が無くなりかける前に、最後に残っていた魔力を全て振り絞って、男は少女を何処かへと移転させる。──と同時に男は倒れてしまった。
「……ふん。あんな小娘なんかはもういい。君の方が断然使えるからな……それに、これで私たちの邪魔者は消えたことになるのか」
「えぇ、やっとあれが実行するのね」
「いや、まだだ。ゆっくりと時間をかけてリ…破……行…る……」
男の意識はここで途絶えた。
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