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場所は、クリティアスのセレスティア大陸の中央──ディーゼルと呼ばれる王国がある。
その広大な領地故、ディーゼルは多数の国と国境を接していた。
その内の一つ、ミリルという村から一人の少年が、ディーゼル王国にあるルベリア魔法学園に通うことになった。
「──じゃあ行ってくるよ」
緩やかにウェーブのかかった黒髪に、少しあどけなさが残った表情、華奢とは無縁の手足の長い体つきをした少年が、村の入り口の近くにいた。
「本当に大丈夫? 忘れ物とかない?」
「あっちに行っても手紙とかよこせよ」
「……ファイトだよ」
少年の周りにはたくさんのメリルの村人が、一人の少年を見送るために集まっている。
「大丈夫だって。それじゃあ」
そう言って、少年が村を出ようとすると、その後ろで、「「ミラノ、頑張ってきてね~!!」」と、村人は手を振りながら少年──ミラノを見送った。
ミラノは苦笑しながら手を振り返して、ミリルを去ってディーゼルへと向かった。
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