◇第一章 始まり◇

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ディーゼルに向かうためには、ミリルから出てすぐ近くにある森の中に入らなければならない。 (……えっと) 森の中をしばらく歩き、ミラノは一度立ち止まり、ポケットから地図を取り出して広げて見る。 (今はここにいるから……こっちだ) 地図を広げながら、ミラノは再び歩き始めた。 (この調子で行けば、夜にはあっちに着きそう) ──ガサガサ (……ん?) ミリルとは違った方向から、何かがこっちに向かって走ってくる音がする。しかも、単独ではないらしい。音は二つ聞こえた。 ミラノはまた立ち止まって、右手の人差し指にある指輪を左手で触る。すると、指輪は光り出して、光が消えると指輪も消え、そのかわり右手には一本の刀が握られていた。 この指輪は、ウェポンリングと呼ばれていて、魔力を構成させて造られた指輪の中に、本来の形である武器がプログラムとして存在している。 故に、武器となる物が破壊された場合、指輪に戻しても形が保てなくなって壊れてしまう。 ミラノは音がする方向に刀を構えた。
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