610人が本棚に入れています
本棚に追加
「チッ……しつけぇな」
一人の少年──ゼノスはビッグタイガーという魔獸から逃げていた。
ゼノスもミリルの隣村──イリシアから、ディーゼル王国にあるルベリア魔法学園に向かっていた。が、森の中でビッグタイガーの尻尾を踏んでしまったため、こうして追われることになってしまった。
「……せめて武器となるものがあればなぁ」
呟くように、きつく唇を噛んだ。
どちらにせよ、このままでは追いつかれてしまう。
「……なら」
ゼノスは適当な石を走りながら拾い、振り返ってビッグタイガーに向かって投げつける。
「これでどうだ!!」
石は吸い込まれるようにビッグタイガーの右目に当たり、「ギャウ!!」と、悲鳴をだす。しかし、一向に止まる気配はなく、むしろ当てられた怒りで速くなるビッグタイガー。
「ちょっ! ヤバいぜこれは」
その差もだんだんと縮まっていき、ビッグタイガーの牙がゼノスに触れようとしたときのことだった──
「伏せて!!」
最初のコメントを投稿しよう!