◇第一章 始まり◇

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「チッ……しつけぇな」 一人の少年──ゼノスはビッグタイガーという魔獸から逃げていた。 ゼノスもミリルの隣村──イリシアから、ディーゼル王国にあるルベリア魔法学園に向かっていた。が、森の中でビッグタイガーの尻尾を踏んでしまったため、こうして追われることになってしまった。 「……せめて武器となるものがあればなぁ」 呟くように、きつく唇を噛んだ。 どちらにせよ、このままでは追いつかれてしまう。 「……なら」 ゼノスは適当な石を走りながら拾い、振り返ってビッグタイガーに向かって投げつける。 「これでどうだ!!」 石は吸い込まれるようにビッグタイガーの右目に当たり、「ギャウ!!」と、悲鳴をだす。しかし、一向に止まる気配はなく、むしろ当てられた怒りで速くなるビッグタイガー。 「ちょっ! ヤバいぜこれは」 その差もだんだんと縮まっていき、ビッグタイガーの牙がゼノスに触れようとしたときのことだった── 「伏せて!!」
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