610人が本棚に入れています
本棚に追加
ミラノは刀を音がする方向に構え、何が来るのか木々の間に目を凝らして見る。
すると、百メートル先の方から、一人の少年が木々の間を縫うように走っている。その少年の後ろには、二メートルも高さがあろう魔獸が、少年を追いかけているのがミラノの瞳に映った。
(魔獸──ビッグタイガーか)
少年はまだこちらに気付いていない。ミラノは少年を助けるために駆け始めた。
「伏せて!!」
ミラノの声に気付いたのか、青年は無我夢中で倒れるように地に伏せようとする。
──刹那。青年の髪の上をすれすれに刀の刃が滑るように通り、ビッグタイガーに目掛け刀で斬りつけた。が、その前にビッグタイガーは驚異的な瞬発力で、後ろへと跳躍する。
ビッグタイガーがいたところに、円を描くような一閃が通った。
「……グルルルル」
ビッグタイガーは低い唸り声をして、ミラノの方を睨む。ミラノも同様に、氷のような目つきでビッグタイガーを睨んでいた。
やがて、ビッグタイガーは動じないミラノを見て、何かを悟ったのか体をひるがえして森の中へと消えた。
最初のコメントを投稿しよう!