◇第一章 始まり◇

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「……大丈夫?」 ビッグタイガーが視界から消えると、ミラノは倒れているゼノスに手を差しのべる。 「助かった、のか」 ゼノスはその手を握り、起き上がった。 「……森の中に入るなら、ちゃんと身を守るものを持っていた方がいいよそうじゃなきゃ、さっきみたいに魔獸に襲われるかもしれないから」 ミラノはそう言って目をつむる。 すると右手に持つ刀が光り、光りが消える頃には指輪に戻っていた。 「いや、一応持ってたんだけどなぁ」 ゼノスはほっと一息をつきながら、倒れた際に服に付いた土を手で軽く叩く。 「どういうこと? 持ってなかったじゃないか」 「……そうだな、一緒に妹がいるところまでついて来てくれないか? お礼もしたいしさ」 「遠慮するよ。僕はこれからディーゼルに行くからね」 ミラノがそう言うと、ゼノスは顔を輝かした。 「本当か!? 俺たちもこれからディーゼルに行くつもりだったんだよ」 「へぇ……その手は何?」 ミラノがそう言う理由──ゼノスはミラノの腕を取ったからだ。 「よし、じゃあ妹のところに行こう!!」 「──えっ?」 そう言って、腕を引っ張りながらずかずかと森の中を突き進むゼノス。 「ちょっと待ってよ!! 何で行かないと行けないのさ」 「あっ、俺の名前はゼノスっていうんだ」 「僕はミラノ……じゃなくて、一人で行けばいいだろ!!」 ミラノは手を振り解こうとすると、ゼノスは突然立ち止まってミラノの方を向き、頭を下げて── 「……俺を助けると思ってきて下さい!!」
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