THE HARMIT【隠者】

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ふと、彼の跳ぶ番になった。 クラスから歓声が上がる。 あぁ、やっぱり人気者なんだ 彼が走る様は、まるで野生のチーターみたいだった。 猛々しくしなやかで、美しい… 彼がハードルを越える度に、私は心の中で、跳べ!と叫ぶ。 跳べ!…と、何回も、何回も… 私の代わりに跳んでほしい。 この重たい身体を、宙に浮かべてほしい… そんなことを思いながら、私は自分のコンプレックスの昇華を、彼に委託するのだ。 英単語の羅列を見て、文法を見て…記憶する私。 それしかできない自分に苛つきを覚えながら、チャイムと同時に教科書を閉じた。 校庭からは、歓声があがっていた。
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