じーちゃん。

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死ぬってことを考えると、すごく恐い。 死んだじーちゃんたちの顔が懐かしい。 でも人が死ぬっていうことに、まだ、バクゼンと恐怖を考え、感じ、泣き出しそうだ。 親しい人が死ぬ。いなくなる。人からどんどん忘れ去られるのが、恐い。自分はだんだん年を重ねるのに、その人はその時のまま、変わらない。 恐いのは、人から忘れられるということなのかもしれない。 僕は人見知りが人の何倍も、何十倍もヒドクて、人と話したり、心を開くことが苦手で、そんなくせにすごい淋しがりで、人から忘れられるのが恐いチッポケな人間で、そんなくせに死ぬことが未だに恐い、幼稚な人間だ。 だから人間だ。 人より生きることが苦手で、生きることに必死になるしかない人間だ。 僕はもう生きるしかないんだ。 そうだよね、じーちゃん。 もう、じーちゃんの声が思い出せないよ。 じーちゃん。 忘れてしまうのも、恐いんだね。
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