思い出

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今までこんな気持ちになった事がなかった彼女は紛れもなくこれが初恋だった。 周りの友達が「見ているだけでドキドキする」だとか「彼しか見えなくなる」などの言葉をどこかうさん臭く感じていた千咲だが、自分が恋をして初めてその意味がわかる。 彼が笑っていれば自分も幸せだし、寂しそうにしていれば悲しくなる。 毎日が横山君で溢れていた9月も終わりそうなある日、教室に忘れ物を取りに行った千咲は横山君と話している他の男子との会話が耳に入ってきた。 「真人さぁ…よく臼井と話してるけど、臼井って正直微妙じゃねぇ?」 「微妙って?」 「大人しくてさぁ…いつも怒っているみたいで俺苦手なんだよ。あの顔もブスいだろ? 真人ならもっと可愛い女子と仲良くなれるのに何で臼井なんだ?」 ドア横で聞いていた千咲身が固まる。
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