10人が本棚に入れています
本棚に追加
/47ページ
6月だというのに窓から射し込んでくる陽射は今日も暑くなりそうだと予感させた。
顔を洗って歯を磨き
「化粧面倒だなぁ」
つい呟く。
どうせこの暑さでふき出す汗に化粧が崩される。
そう考えると化粧が余計な仕事だと思えてくるのだ。
「だったらスッピンで行けば? 千咲なら化粧しなくても平気だろ」
ネクタイを絞めながら答えたのは同棲中の彼氏。
名前は岡崎一哉(カズヤ)。
「何それ…? 私は化粧してもしなくても同じだと言いたいの?」
思わず悪態が口から出る。
一哉は見た目スマートな紳士に見えるがその実、口が悪かったりするのだ。
「違うよ。千咲は元の作りがいいんだから、世の女性みたいに化粧しなくても充分いけるって事」
そう言いながら千咲を後ろから抱き締める。
最初のコメントを投稿しよう!