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「25才にもなって化粧しないで仕事に行く訳にはいかないの。社会では化粧するのは暗黙の了解みたいになってるんだから」
言いながら彼の腕を解こうとする。
「そういうもんかねぇ…」
「そういうもんなの!」
なかなか腕の中から出れれず少しイライラしていると、
「まっ、女性の千咲が言ってるんだからそうなんだろう」
と腑に落ちないながらも納得する。
それでもなお千咲の胸の前では一哉の腕が絡まっている。
「いい加減暑苦しいから離れてよ!」
「じゃあ最後に行ってきますのキスを…」
「しーなーいーかーらー! 早く家出ないと電車乗り遅れるよ」
千咲に言われ時計を見ると家を出ないといけない時間が迫っていた。
「あっ…やっばい……。んー夜にお預けだな」
そういうと一哉は頬に軽くキスをしてバタバタと玄関を飛び出していった。
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