第零章 空、蒼き

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ジリジリと照らし続ける太陽。 周りには蒼い空、そして白い雲。 緑の草木に囲まれ、地べたに寝転がり空を見る。 ふと手に掴んだのは一輪のタンポポ。 周りになにもなく、ただそこに、一点の黄色があった。 小さいながらも大きく見えるその一点は、人よりも小さく、人よりも世界を広く感じる。 そして人間よりも力強く地に根をはる。 ふと一点を握っていた手を離た 同時に風が吹いた 周りの草木が揺れるのと共に、その一点もフラリと揺れる。 何も無かったかのようにその一点は風に吹かれ、周りの草木と同じように揺れる 俺の存在などなんでもないように、俺には時代を止めることも、時代を変えることも出来ないと嘲笑うように。 俺は立ち上がった。 頬から血が垂れる。 先程からだから気にはしない。 目の前から何かがくる。 俺は気にせず、手に持っている槍でなぎはらった。 目の前の何かは塵になり消えて行く。 俺はまた蒼い空を見る。 心なしか先程より澄んでいる。 大きな欠伸をし、前をみた。 すると今度は女の子が走ってくる。 俺はこいつを知っている。 俺の大好きなあいつだから。 そいつは笑顔でこちらへ手を出す。 俺は出し返す訳でもなく、軽くタッチをして前に進み出した。 その反応に頬を膨らませて居るが俺は気にしない。 俺の頬の血が止まったのを確認してまた空を見上げた。 これほど澄んだ、 蒼い空を見たのは、 久しぶりだろう。  
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