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入学式が終わり、おれは一人校舎裏をふらついていた。 何がある訳でもなく、ただなんとなくふらついていた。 校舎裏の隅にテニスコートがあった。その横には下へ行く階段。 どこに繋がる階段かと下を見てみると、そこには陸上のトラックがあった。 少し嬉しくなってしまったおれは階段を下りトラックへと足を運ぶ。 すると、トラックの端の方にもう一つ、小さな階段を見つけた。 階段の下を見てみると一本の桜の木。 樹齢100年くらいの立派な桜の木だ。 おれはその綺麗な姿に見とれる。 気付くと桜の前に立っていた。 桜に背をあわせ上を見上げる。 綺麗に咲いた花がこちらを向いている。 夢の桜に良く似ている… そう思った時、強い風が吹く。 おれは思わず目をつぶる。 『さくら…』 誰かの声が聞こえておれは静かに目を開けた。 目を開けた瞬間に唇が重なりあった。 数秒動けなかったが直ぐに相手を引き離す。 「何するん…です…かァ?!」 一瞬女と見間違えるくらいの綺麗な顔立ち。 だが相手は確実に男。 おれは男にキスされたのだ。
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