*試衛館*

4/8
前へ
/39ページ
次へ
少し矛盾しているような自分の考えがおかしく思えたが、月真尼様と血縁であることには変わりがない。 私の答えを聞いたお栄さんは更に口を開いた。 「どこから、来たんだい?」 「柳生の里から…です。 その……家出で…。」 最後の方は聞き取りづらいほど、声が小さくなっていった。 女が“家出した”なんて言うと、大抵の大人は怒る。 しかし、お栄さんはケラケラと笑い出した。 「柳生から来たのかい。強い子だねぇ。 今日は泊まりなさい。明日、誰かに薬と一緒に送らせよう。」 …今、お栄さん… 「薬って…?」 私の問にお栄さんは小さく、 えっと言った。 「お祐さん、知らないのかい?」 知らないって何が? 私の顔を見て、何も知らない事を悟ったらしいお栄さんは、静かに話し出した。 .
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

213人が本棚に入れています
本棚に追加