*柳生の里*

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─文久元年11月 ──柳生の里にて 私は家を出る事にした。 父さまは医師になりたい私を理解してくれないし、母さまは女子らしくあれ、と言う。 女子らしくあれ、と言うなら私に剣術を習わせる必要は無かったはず…。 おかげで新陰流も印可受けまでいったし、柳生の者としての技も全て習得してしまった。 この里に居たら私はどうなる? 父上のもとで忍として動くか、父さまに嫁に行かされるだけだろう。 そんな分からない未来なら自分から進めば良いじゃない? これが私の考え。 自分で行動しなければ、前には進まない。 でも、父さまに正面切って『家を出る』なんて言ったら、確実に座敷牢行きになると思った私は文だけおいて家を出ることにした。 柳生の環境や剣は好きだけど、ここは私にとって呼吸がしづらい…。
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