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咲おば様…
月真尼様は私の実の伯母にあたる人で、旦那様が亡くなった後に髪をおろして市ヶ谷にある剣道場の近くに庵を建てて住んでいる。
おば様の旦那様は蘭医だったと父上から聞いたことがあったから、取り敢えずそこにお世話になることにした。
柳生の里を出て、江戸に下りはじめた。
私が柳生から出たと皆が気付けば、妹のように育ってきた香穂が追って来るだろう。
宗矩様の影にいた‘弥さ’のように。
女の足で江戸までは遠い。
籠を使いながらも江戸へ向かった。
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