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「どうした?
どうして泣いてる?」
「私は
誰…………?」
「それを聞いてどうする?
名などに意味は無い。
必要なのは
自分のセカイだ」
「セ・カ・イ?」
「そうセカイだ。
君にもいつかわかる日が来る」
「待って!
あなたは?」
「言っただろ。
名に意味は無い」
「でも、
なら、あなたを何て呼べばいいの?」
「それはーーーー」
唇は動くが、何と言っているのかわからない。
新成田国際空港
最終便がついさっき到着した。
昼間は国際空港の顔として忙しい顔を持ってはいるが、この時間帯になると空港内はガランとしていて、静かだった。
ついさっき降り立った乗客達も手早く入国手続きを済ませようと早足で歩いて行く。
そして、その乗客の中に彼もまた紛れ込んでいた。
「まさか、こんなにも早くまた戻ってくるとはな」
歩きながら天井を見上げながら青年はそう呟いた。
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