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しばらく歩くと交差点の信号に捕まった。 「ねぇ、神谷本当に大丈夫なの?」 空の心配そうな目が神谷に向く。 「あぁ」 どこか浮いた感じの返事。 神谷は別のところを見ていた。 「頭とか痛くない?」 「あぁ」 再び気の抜けた返事。 「お腹、痛くない?」 「あぁ」 ピー、ピー、ピー。 信号が変わり、神谷は横断歩道を渡り始めた。 「神谷!」 空が叫んだ。 神谷ははっと振り返った。 振り返ると、空が顔を俯けて震えていた。 その場で神谷は立ち止まった。 辺りの人々は一度二人へ目線を向けるが、その後各々足を動かした。 ピー、ピー、ピー。 信号がチカつき、神谷は慌てて空のいるところへ戻る。 曇った表情を神谷は浮かべ、空を見る。
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